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もうひとつのキャリア形成

日本にはさまざまな教育があります。でも、「私は、職業教育を受けた」という人はどれくらいいるでしょうか。職業教育とは「職業に必要な能力を習得するため」の教育です。職業がどのようなものであるか、職業に就くことが大切であるという職業意識を醸成する教育は、それはそれで重要ではありますが、職業能力を習得するための職業教育とは異質な教育です。
職業高校や高専でさえ、進学を目指した教育に内容が変質しています。子供が大人になるとき、必ず職業に就くことになります。職業に就いてこそ大人になったと言えるでしょう。でも現在、日本人のほとんどは、学校教育の中で職業能力を修得することなく、職業に就いているのです。

それはあたり前のことなのでしょうか。現在の日本の学校教育は、企業が採用した労働者に必要な能力を教育することを前提としたシステムです。すでにその仕組みは、一部のエリートに残されているだけで、一般の労働者に対しては崩壊しつつあります。では、どうすればいいのか。
本書で、世界標準の職業教育をかいまみてください。いままであたりまえと思っていた、大学への進学率を良い教育の指標としてきた学校教育が、ずいぶんいびつなものであることに気づくことになるでしょう。


 紹介記事・書評はこちらから
    技能と技術誌 松本和重氏 2009.1
     経済 宇佐見義尚氏      2009.6
     産業教育学研究 新井吾朗 2009.7

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  職業訓練教材研究会

平沼高・新井吾朗編著
職業訓練教材研究会
ISBN 978-4-7863-9002-9

目次:
はじめに
第1章 日本の若者の職業教育

 第1節 企業内教育訓練で学ぶ若者たち
  (1)企業の中の「学校」 (2) 企業の中の技能者養成の仕組み
  (3)企業内教育訓練の特色 (4) 養成生とのキャリア・処遇 (5)企業内教育訓練の課題・可能性


 第2節 公共職業訓練で学ぶ若者たち
  (1)公共職業訓練の状況 (2)東京都の職業訓練受講者の構成と職業訓練への好感度
  (3)職業能力開発短期大学校修了者の意識 (4)山形県立職業能力開発専門校の受講者
  (5)日本版デュアルシステムの受講者 (6)職業訓練修了者の活躍
  (7)職業訓練の意味と教育への誤解


 第3節 専門学校で学ぶ若者たち
  (1)専門学校への進学 −すきな道を選択するということ
  (2)専門学校の生活   −プロになるための教育とは
  (3)自分を解放する喜び −ものづくりの教育の魅力
  (4)モノづくりの現場へ


 第4節 安田工業の熟練工養成
  (1)経営理念と事業戦略 (2)能力主義志向の弊害排除
  (3)組作業組織における陶冶と訓育 (4)おわりに


第2章 先進諸国の若者の職業教育
 第1節 アメリカの若者と現代の徒弟制度
  (1)アメリカの大学生の学業と就職 (2)四年制大学へ進まない、もうひとつの道
  (3)徒弟制度に関わる法律 (4)建設業の徒弟制度−その1
  (5)建設業の徒弟制度−その2 (6)建設業の徒弟制度−その3
  (7)建設業の徒弟制度−その4 (8)アメリカ徒弟制度の問題点
  (9)おわりに


 第2節 イギリスの若者と新たなかたちの「徒弟制度」
  (1)新たなかたちでの「徒弟制度」とその背景 (2)「徒弟制度」での学習内容
  (3)「徒弟制度」の実際−ブリティッシュ・ガスの事例
  (4)徒弟制度型教育訓練機会の政策的な推進と拡がり
  (5)「徒弟制度」の課題


 第3節 フランスの若者と職業教育・訓練
  (1)職業資格と密接な技術・職業教育 (2)多様なコースや専攻を提供する職業高校と技術高校
  (3)カリキュラム編成と技術・職業教育の特色 (4)交互制訓練の展開


 第4節 ドイツの若者の職業的自立
 T.デュアルシステム
  (1)義務教育年限終了後の若者たちの進路 (2)デュアルシステムでの訓練
  (3)デュアルシステムと就職 (4)デュアルシステムの課題
 U.デュアルシステムに乗ることのできなかった若者
  (1)不利益青年のこと (2)まず、相談と助言が行われる
  (3)職業訓練が始まる (4)生産学校と作業所


第3章 若者のキャリア形成に求められる社会的基盤
 第1節 社会経済システムと若者像
  (1)労務管理と非正規雇用の拡大 (2)若者の雇用状況
  (3)経済社会の現実と若者の求職活動 (4)職業能力を形成することの意味
  (5)雇用流動性と職業資格 (6)職業能力のミスマッチ論


 第2節 職業を忘れた日本の学校教育
  (1)学校給食の方法が意味すること (2)「学習」と「教育」 (3)「学校」の役割とはなにか
  (4)欧米の学習の目標 (5)職業教育の忌避 (6)おわりに


 第3節 雇用形態の多様化とキャリア形成
  (1)非正規雇用の増加状況 −派遣労働と請負労働
  (2)進路指導と自己実現論 (3)キャリア教育


 第4節 大学でのキャリア教育と揺れる大学生
  (1)大学キャリア教育の隆盛 (2)大学でのキャリア教育
  (3)就職に揺れる学生 (4)大学のキャリア教育の問題点
  (5)大学でのキャリア教育の課題


 第5節 熟練形成の社会的基盤
  (1)ゆとり教育が失敗したと誰がきめるのか
  (2)世界史未履修問題が示すもの (3)JABEEが示すもの
  (4)医師の臨床研修が義務化されたとはどういうことか
  (5)日本の教育制度・資格制度の問題点のまとめ
  (6)イギリスの資格制度 (7)アメリカの徒弟制度 (8)フランスの資格制度
  (9)資格制度の基本機能 (10)熟練形成の社会的基盤